
2025年06月26日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[ポスト英国EU離脱リセット 英国とEUが2038年までの漁業協定に正式署名]
英国とEUは、今般、相互の排他的経済水域(EEZ)と一部領海距岸6マイルまでの漁業権にかかる、2038年6月30日までを有効期間とする協定に正式に署名した。
2026年に有効期限が切れる現行協定を更新した形となる。
2025年5月19日、英国とEUはロンドンで首脳会談を行い、英国EU離脱後の関係再構築を目的に、防衛安全保障、通商などの分野の協力強化について協議、EU漁船の英国海域での漁業権を向こう12年間延長することに合意していた。
英国のEU離脱による漁獲割当の譲渡は、2021年から開始されていて、譲渡のプロセスは(括弧内は全体に対する比率)次のとおりとなっている。
2021年:60%(15.0%) 2022年:70%(17.5%) 2023年:80%(20.0%) 2024年:92%(23.0%)
2025年:100%(25.0%)
また、アクセスの条件として、2020年12月31日時点で関連する権利を有していた船舶(者)に限定することが設定されている。
英国は、EU離脱後のリセット交渉において、漁業権を巡る大幅な譲歩と引き換えに、EUによる食品検査の簡素化などの成果をとった。
英国漁業界、最大野党“保守党”などからは、漁業分野が交渉において犠牲になったとして、強い批判の声が上がっている。
なお、英国政府は国内漁業や沿岸地域支援として3億6,000万ポンドを拠出するとしている。