ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会 一般社団法人北洋開発協会

 

2025年06月19日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[国際指名手配 極東のカニ王アレッグ・カンの実子の土地4区画と家屋2棟が接収される]

国際指名手配を受けている極東のカニ王と称されたアレッグ・カンの実子、アレクサンドル・カンの土地4区画と家屋2棟がロシア国家によって裁判所の決定に基づき接収された。

検察庁は、アレクサンドル・カンが父親の違法行為に重要な役割を果たしていたと説明している。

アレクサンドル・カンの不動産は、3,587億ルーブルの国家への共同債務の返済に充てられる。

2014年から2019年までの間、アレッグ・カンは、カニを輸出する際、製品価値を過小評価し脱税、26億ルーブル以上に相当する3,000トン以上の活製品を違法に海外へ仕向けた。

このスキームにおいて、アレクサンドル・カンは“クリリスキー・ユニヴァサリヌイ・コンプレクス”(Курильский универсальный комплекс)社代表として関与した。

このほか、アレッグ・カンが創業、あるいは入手した4社、“モネロン”(Монерон)社、 “アクワマリン”(Аквамарин)社、“セヴェル・フロート”(Севрыбфлот)社、“プリモルスカヤ・ ルイボロフナヤ・カンパニア”(Приморская рыболовная компания)社が違法輸出に関わった。

また、アレッグ・カンには、2010年にウラヂオストクで殺害された同業他者ワレリイ・プヒデンコ事件への関与の疑いがかけられている。

国際指名手配を受けているアレッグ・カンに対し、被告人欠席の中、組織的殺人罪で、懲役17年を科すロシア沿海地方裁判所が2024年4月に下した判決(嘱託殺人を組織:刑法第33条3項および第105条2項)を不服とし、当該弁護士団が上訴をしたが、先に、ロシア第5控訴裁判所は、これを棄却した。

さらに、これを不服として当該弁護士団が、最高裁判所に上告、2025年5月13日に訴状は受理され、審議に入っているとされている。

2024年3月、アレッグ・カンの弁護士は、本人が死亡しており、刑事事件を終了するよう求めていた。

ロシア連邦公証人役場の電子データベースには、フルネームと生年月日がアレッグ・カンと一致する人物の死亡に関する相続事案が実際に存在しており、2023年2月14日に死亡したことが記載されている。

これに関連し、先の2023年2月、膵臓癌によってロンドンで死亡、韓国で荼毘に付されたとの情報をミディアが一斉に伝えた経緯がある。

これに対し当局は、サンクトペテルブルグとサハリンの登記所による死亡が確認されていない旨の証明書を提出し、虚偽の主張だと反論していた。

ロシア沿海地方裁判所は、アレッグ・カンが2010年に同業他者ワレリイ・プヒデンコの殺害計画を立て、報酬を支払って、共犯者を用意、殺害を組織したと認めた。

ワレリイ・プヒデンコは、商談の名目でアレッグ・カンからウラヂオストクに招待され、同市郊外のレストラン“トリ・ボガトィリヤ” (Три Богатыря:「三人の英雄」サウナ併設ロシア料理レストラン)周辺において射殺された。

アレッグ・カンは、1967年ネヴェリスク生まれで、日本との合弁企業を振出に、カニ漁業にかかわり、極東の“カニ王”と呼ばれるまでになった。

さらに、ウラヂオストクの大型商業施設を所有する実業家になったものの、かかる状況下、自身は海外に滞在しているとされている。