2024年10月26日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア漁業 2030年までの水産物製品輸出拡大のための予想]
全ロシア漁業者水産物輸出者協会ヴァルペ(ВАРПЭ)の調査結果に基づく水産物製品輸出分析によると、ロシアの当該輸出収入の約90%は13の製品と4つの地理的市場で構成され、これらはスケトウダラ、カニ、タラ、イワシ等、そして、中国、韓国、日本、EUとなっている。
世界の水産物製品市場は現在再編の段階にあり、ロシア産水産物製品に対し、多くの国が関税障壁を設定し、一部ではロシアの漁獲物を使用した水産物製品の取引の禁止を導入している。
世界的な水産物製品加工場としての中国の魅力低下は、各国市場に影響を与えている。
現在の世界の水産物製品市場が置かれている不安定な均衡は、あと2年-3年続き、2030年までにこれが硬直状態に達し10年-15年間続くと、ヴァルペが“リポート:2030年までの水産物製品輸出拡大のための予想”において言及している。
一連の制裁措置により、製品輸出の効率が低下しており、昨年2023年のロシアの当該供給は、数量ベースで8.6%増加し256万トンに達したものの、金額ベースでは5% 減少して58億ドルにとどまった。
非友好国への輸出には高いリスクがあり、輸出地域を拡大するという問題解決が重要となる。
ロシア漁業は今後数年間でBRICsの主要パートナーであるインド、ブラジル、そして中国への高次加工製品の供給拡大の可能性を見出している。
特にスケトウダラのフィレ、すり身、フィッシュミール等の製品が有望となっている。
推計によると、EUへの水産物製品輸出に占める割合は2023年の14.9%、7.793億ドルから2030年には6.5%、5.704億ドルに減少する可能性がある。
同時に、高次加工製品の拡大により中国への供給は53.3%から55%に増加させ48.8億ドル、韓国へは15.3%から16.7%に増加させ14.8億ドル、そして日本へは14.5%から15.9%に増加させ14.1億ドルにできる可能性がある。
さらに、アフリカ、ラテンアメリカ、中東の友好国への供給は5倍の5.232億ドルに増加させることができる可能性がある。
これらから、ロシアの水産物製品輸出額は最大で88.5億ドルにさせる可能性を見積もることができる。
輸出拡大の可能性の必要な行動として、インドに対するスケトウダラのフィレ、中国へのスケコの供給のための市場開拓等が指摘されており、特に後者は、日本一辺倒の体制から、買い手を増やし競争原理にインセンティヴを与えることが重要だとヴァルペは加えている。